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22/08/2021

時代考証学会第14回サロン 民俗学から時代劇メディアのなにが問えるか

民俗学から時代劇メディアのなにが問えるか

報告者

及川祥平(成城大学文芸学部文化史学科専任講師、時代考証学会評議員)

創設から十二年、当会は「歴史作品、学問、市民社会に寄与する総合学」としての時代考証学という志のもと多くの市民や作品関係者の方々との交流を重ね時代考証学の構築を目指してきました。そして、その過程で、歴史学にとどまらず、民俗学、建築史や演劇学、映画学、表象文化論など様々な分野の研究者が加わっていくようになりました。

報告者・及川祥平さんの専門である民俗学では、近年、偉人顕彰や人神祭祀に関する研究成果が蓄積されており、及川さんの『偉人崇拝の民俗学』(勉誠出版、2017年)もその一つに数えられます。同書では、「人を神に祀る風習」の近・現代の状況を問うために、従来見過ごされてきた「偉人崇拝」に着目し歴史上の人物や死者に人びとが価値を付与していくプロセスの再検討がなされています。楠木正成や武田信玄、徳川家康、大岡越前、赤穂義士などを巡る事例を素材に、地域の人びとが歴史上の人物を「偉人」として記憶し、それを想起し、さらにそれが別の人びとに体験されていく、という記憶装置の構築過程の再検討がなされました。時代劇メディアを通した人びとの歴史体験と歴史観との関係性についても言及されており、人びとが歴史上の人物のあり方を思い描く際にメディアが果たしてきた役割や、単純に史実を並べていくだけでは決して説明できない、さまざまな経験、思い、価値観などの「磁場」について検討されています。

今回のサロンでは、戦国期の著名な合戦の一つである長篠・設楽原合戦などを中心に、地域に今も残る顕彰や行事等の事例を踏まえながら、それらが人びとの目に届くことでどのような事が起こり、偉人の描かれ方などとどのように関わっていくのか、そして、時代劇メディアを消費する人びとの受容や抵抗にはどのような関係を見せているのかをお話しいただきます。そして、これらの論点は時代考証学とどのように交錯していくのかについて問立ててもらうことで、議論を深めていきたいと思います。

※多くの方にご参加いただきました。ありがとうございました。

日 時:2021年8月22日(日)14:00~(13:40入室受付開始)
会 場:Zoomウェビナーによるオンラインサロン
ZoomのURLや利用方法、配布資料等については、参加申し込みをいただいた後に個別にメール(jidaisalon202108〔at〕gmail.com)にてご案内いたします。

参加費無料

追記:本サロンに関連する論考が『戦国時代劇メディアの見方・つくり方―戦国イメージと時代考証―』に収録されています。

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